ひずみ測定のノウハウ ひずみ

ひずみゲージのゲージ率と測定値について

ひずみゲージはフィルム状のセンサに抵抗配線が内蔵しているセンサです。 フィルムの伸縮によって抵抗値が変化しその変化量でひずみ値を抽出できます。 抵抗値の変化量にゲージ率を積算してひずみ値を求めます。 市販品のひずみゲージの代表的なゲージ率が”2”なため、AirLogger™ではゲージ率が2の場合の測定結果を出力します。 製造ばらつきの影響もあり、実際のひずみゲージはゲージ率が2とは限りません。 使用するひずみゲージのゲージ率を確認し、換算することで正確な測定をすることができます。 換算式は、 換算後の測定値 = 測定値 / (実際のゲージ率 / 2) になります。ゲージ率2.1の場合、 換算後の測定値 = 測定値 / (2.1 / 2) となります。

ひずみゲージの抽出するひずみ量はひずみゲージ全体にかかるひずみの平均値

ひずみゲージは抵抗が線状に配置されその抵抗の伸び縮みによる抵抗値変化によりひずみ量を計測します。 ひずみ値はひずみゲージ内部の抵抗が配置されているエリアの平均値になります。 ひずみゲージ内部の抵抗が配置されている部分に均等にひずみが発生するようなゲージ長を選び設置することで正確に測定することができます。

ひずみゲージの1ゲージ3線式の効果

ひずみゲージの抵抗値変化をホイートストンブリッジから測定する場合、図のような構成になります。
  • 1ゲージ2線式の場合
    R1にひずみゲージの配線抵抗が2本分付き、R2~4にはひずみゲージの配線抵抗は付きません。
  • 1ゲージ3線式の場合
    R1とR2にひずみゲージの配線抵抗が1本分ずつ付き、R3~4にはひずみゲージの配線抵抗は付きません。 ホイートストンブリッジはR1/R2とR3/R4の比較になるため、1ゲージ3線式を使用するとR1とR2両方に配線抵抗が追加され配線分の誤差出力はキャンセルされます。
平衡調整を行えば、1ゲージ2線式での配線抵抗の誤差分は補正され問題なく測れますが測定中に温度変化があった場合、ひずみゲージの配線の抵抗値の温度変化の2倍が測定結果の誤差として追加されます。

ひずみゲージの2ゲージ法の測定値について

2ゲージ法は測定の仕方によって測定値を算出する方法が変わります。 測定対象の表と裏に設置すると2倍のひずみ値が測定できます。 一方向にしか伸縮しない成分を測定したい場合、測定対象物に90度変えて配置すると1倍のひずみ値が測定されます。 ひずみゲージを接続する場所に応じて測定値に換算する必要があります。

※ 一般的に横に伸ばした場合、縦方向は縮みますその比率(ポアソン比)は材料によって決まります。

1ゲージ法
ひずみ測定値=(Eo/Ei)×4/ゲージ率
2ゲージ法 表と裏にゲージを張った場合
ひずみ測定値=(Eo/Ei)×2/ゲージ率
2ゲージ法 直角にゲージを張った場合
ひずみ測定値=(1+ポアソン比)×)(Eo/Ei)×4/ゲージ率

※ Eiはブリッジの入力電圧、Eoはブリッジの出力です。 Eiは測定器内部で生成するため別途用意する必要はありません。

1ゲージ法での誤差要素を取り除くために2ゲージ法を用いる場合は上記の測定結果から求めるひずみ量に変換する必要があります。 測定器のひずみ量の算出の仕方が1ゲージ法を基準としている場合は以下のような変換をする必要があります。
2ゲージ法 表と裏にゲージを張った場合
実際のひずみ量=ひずみ測定値/2
2ゲージ法 直角にゲージを張った場合
実際のひずみ量=ひずみ測定値/(1+ポアソン比) AirLogger™では設定時に変換式で演算を指定すると測定結果で直接演算後の結果を出力することができます。 変換式は下の図の赤枠の場所に以下の式を入力します。
2ゲージ法 表と裏にゲージを張った場合
“x/2”
2ゲージ法 直角にゲージを張った場合
“x/(1+ポアソン比※)” ※ ポアソン比は材質によって決まり、一般的に0.3~0.5の値になります。